マウスピース矯正の効果と期間〜症例別完了までの道のり
目次
マウスピース矯正とは?効果的な歯列矯正の新たな選択肢

歯並びの悩みを抱えながらも、目立つ矯正装置をつけることに抵抗を感じている方は少なくありません。透明なマウスピースを使った矯正治療は、そんな方々にとって大きな福音となっています。
マウスピース矯正とは、透明で薄いプラスチック製のマウスピースを使って、少しずつ歯を理想的な位置に動かしていく矯正方法です。従来のワイヤー矯正と比べて目立ちにくく、取り外しも可能なため、日常生活への影響が最小限に抑えられるのが特徴です。
私が歯科医師として長年診療してきた経験から言えることですが、マウスピース矯正は見た目の美しさだけでなく、機能的な改善も同時に実現できる素晴らしい治療法です。
マウスピース矯正の主なメリット・デメリット
マウスピース矯正を検討する際には、その特徴をしっかり理解しておくことが大切です。ここでは、メリットとデメリットを詳しく解説します。
メリット:目立たない・取り外し可能・痛みが少ない
マウスピース矯正の最大の魅力は、透明で目立たないことでしょう。人前に立つ機会が多い方や、見た目を気にする方にとって、これは大きなメリットとなります。
また、食事や歯磨きの際に取り外せるため、食べ物の制限がなく、口腔衛生も保ちやすいのが特徴です。従来のワイヤー矯正では難しかった細部までの清掃が可能になり、虫歯や歯周病のリスクを軽減できます。
さらに、金属製のワイヤーやブラケットを使用しないため、口内の傷や痛みが少ないという利点もあります。微細な力で徐々に歯を動かすため、痛みの感じ方も穏やかなことが多いです。
どう思いますか?矯正治療中でも快適に過ごせるというのは、患者さんにとって大きな安心材料ではないでしょうか。
デメリット:自己管理が必要・適応症例の限界
一方で、マウスピース矯正には自己管理が必要というデメリットもあります。効果を得るためには1日20時間以上の装着が推奨されており、この時間を守れるかどうかは患者さん自身の意識に委ねられています。
装着時間が不十分だと、予定通りに歯が動かず、治療期間が延びてしまうことも。自分自身で装着・管理する必要があるため、規則正しい生活習慣と高い意識が求められます。
また、重度の不正咬合や複雑な症例では、マウスピース矯正だけでは対応が難しいケースもあります。特に骨格的な問題を伴う場合は、従来のワイヤー矯正や外科的処置との併用が必要になることも。
マウスピース矯正の治療期間:症例別の目安
「矯正治療はどのくらいの期間がかかるの?」これは患者さんからよく受ける質問です。マウスピース矯正の期間は、歯並びの状態や治療の範囲によって大きく異なります。
軽度の歯列不正:約3〜6ヶ月
前歯の軽度なズレや小さな隙間の修正など、比較的シンプルな症例であれば、3〜6ヶ月程度で治療が完了することもあります。
私のクリニックでも、前歯のわずかなガタつきを気にされていた20代の女性患者さんが、わずか4ヶ月でお悩みを解消されたケースがありました。毎日きちんとマウスピースを装着し、定期的な通院も欠かさなかったことが、短期間での成功につながったと思います。
軽度の症例では、マウスピースの交換頻度も2週間に1回程度と比較的スムーズに進行することが多いです。
中程度の歯列不正:約6〜12ヶ月
八重歯や叢生(歯並びのガタガタ)、小〜中程度の出っ歯など、中程度の歯列不正の場合は、6ヶ月〜1年程度の治療期間が目安となります。
歯の移動量が多くなるため、それに応じて治療期間も長くなりますが、1年以内に完了するケースも少なくありません。
ただし、歯の動きには個人差があるため、同じような症例でも治療期間に違いが生じることがあります。年齢や骨の状態、装着時間の遵守度などが影響します。
重度の歯列不正:約1年半〜2年
大きな出っ歯や受け口、複雑な叢生など、重度の歯列不正の場合は、1年半〜2年程度の治療期間が必要となることが多いです。
歯の移動距離が長く、複数の歯を同時に動かす必要があるため、時間がかかります。また、治療の途中で予定通りに歯が動いていない場合は、治療計画の修正が必要になることもあります。
重度の症例では、マウスピース矯正だけでなく、他の治療法との併用や、場合によっては外科的な処置を検討することもあります。
矯正治療は短距離走ではなくマラソンです。焦らず、一歩一歩確実に進んでいくことが美しい歯並びへの近道なのです。
症例別:マウスピース矯正の効果と期間

実際の症例を通して、マウスピース矯正の効果と期間について詳しく見ていきましょう。
出っ歯の症例
出っ歯(上顎前突)は、上の前歯が前に突出している状態です。軽度から中程度の出っ歯であれば、マウスピース矯正で十分に改善が可能です。
29歳の女性患者さんの例では、上顎の小臼歯2本を抜歯し、マウスピース矯正を行ったところ、わずか7ヶ月という短期間で治療が完了しました。これは非常に効率的な治療例と言えるでしょう。
一方、抜歯せずに出っ歯を治療する場合は、奥歯を少しずつ後退させる必要があるため、治療期間が長くなる傾向があります。15歳の患者さんの非抜歯での治療例では、約1年6ヶ月かかりましたが、きれいな歯並びを獲得できました。
出っ歯の治療では、単に前歯を引っ込めるだけでなく、口元のバランスや噛み合わせも考慮した総合的なアプローチが重要です。
八重歯・叢生の症例
八重歯や叢生(歯並びのガタガタ)は、歯が重なったり、回転したりしている状態です。スペースの確保が課題となりますが、マウスピース矯正でも効果的に治療できます。
歯のねじれや重なりが軽度であれば、約6ヶ月程度で改善することもありますが、中程度から重度の場合は1年以上かかることが一般的です。
私が担当した16歳の男性患者さんは、前歯の重なりが気になっていましたが、非抜歯のマウスピース矯正で約9ヶ月の治療期間で改善しました。装着時間をしっかり守り、定期的なチェックで微調整を行ったことが良い結果につながりました。
すきっ歯の症例
すきっ歯(空隙歯列)は、歯と歯の間に隙間がある状態です。マウスピース矯正では、比較的短期間で効果的に治療できることが多いです。
前歯のすきっ歯であれば、3〜6ヶ月程度で隙間を閉じることができるケースも少なくありません。ただし、大きな隙間や複数箇所にわたるすきっ歯の場合は、それに応じて治療期間が長くなります。
すきっ歯の治療では、単に隙間を閉じるだけでなく、歯の形態や大きさのバランスも考慮する必要があります。場合によっては、治療後にダイレクトボンディングなどの審美治療を組み合わせることで、より自然で美しい仕上がりになることもあります。
受け口の症例
受け口(反対咬合)は、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態です。軽度から中程度の受け口であれば、マウスピース矯正でも改善が可能です。
25歳の女性患者さんの例では、骨格性の下顎前突でしたが、マウスピース矯正で約1年11ヶ月の治療を経て、きれいな噛み合わせを獲得できました。
受け口の治療は複雑なケースが多く、治療期間も比較的長くなる傾向があります。また、重度の骨格性の問題を伴う場合は、マウスピース矯正だけでは限界があり、外科的な処置が必要になることもあります。
マウスピース矯正の治療プロセス

マウスピース矯正の治療は、以下のようなステップで進んでいきます。
初回カウンセリングと検査
まずは初回のカウンセリングで、患者さんのお悩みや希望をしっかりとお聞きします。その後、レントゲン撮影や口腔内写真、歯型の採取などの検査を行い、現在の歯並びや噛み合わせの状態を詳しく分析します。
くろさき歯科では、無料相談を実施しており、60〜90分かけて丁寧に診断と説明を行っています。患者さんの不安や疑問にしっかりと向き合うことが、成功への第一歩だと考えています。
検査では、最新の3Dスキャナー(iTero)を使用して精密な歯型データを採取します。これにより、従来の型取りよりも正確で快適な検査が可能になりました。
治療計画の立案とマウスピースの作製
検査結果をもとに、詳細な治療計画を立案します。コンピューターシミュレーションを用いて、歯の動きを予測し、必要なマウスピースの枚数や治療期間を算出します。
患者さんには、治療前と治療後の予測モデルをお見せしながら、治療内容や費用、期間などについて詳しく説明します。納得いただいた上で治療を開始することが重要です。
治療計画が確定したら、患者さん専用のマウスピースを作製します。一般的に、2週間ごとに交換する複数のマウスピースをシリーズで作製します。
マウスピースの装着と定期的な通院
マウスピースが完成したら、装着方法や注意点について詳しく説明します。効果を得るためには、1日20時間以上の装着が基本となります。食事や歯磨きの時以外は常に装着するよう心がけましょう。
治療中は、1〜2ヶ月ごとに通院していただき、歯の動きや治療の進行状況を確認します。予定通りに歯が動いていない場合は、治療計画の修正や追加のマウスピースが必要になることもあります。
私がいつも患者さんに伝えているのは、「継続は力なり」ということ。毎日コツコツとマウスピースを装着することが、美しい歯並びへの近道です。
治療完了と保定
予定していた歯の移動が完了したら、治療は終了です。しかし、ここで終わりではありません。矯正治療後は「保定」と呼ばれる期間が必要です。
保定期間中は、リテーナーと呼ばれる保定装置を装着して、動かした歯が元の位置に戻らないようにします。初めは終日装着し、徐々に夜間のみの装着に移行していきます。
保定期間は個人差がありますが、少なくとも1〜2年は継続することが推奨されます。中には、より長期間の保定が必要なケースもあります。
マウスピース矯正中の生活と注意点
マウスピース矯正中の生活について、いくつかの注意点をお伝えします。
装着時間と食事について
マウスピース矯正の成功の鍵は、十分な装着時間を確保することです。1日20時間以上の装着が基本となりますので、食事や歯磨きの時間以外は常に装着するよう心がけましょう。
食事の際はマウスピースを外し、食後は歯磨きをしてからマウスピースを装着します。飲み物は水や無糖の飲料であれば、マウスピースを装着したまま飲むことができますが、着色や虫歯のリスクを考えると、できるだけ外して飲むことをおすすめします。
外食や長時間の会食が多い方は、装着時間の確保に工夫が必要かもしれません。短時間で食事を済ませる、不要な間食を減らすなどの工夫も効果的です。
痛みや違和感への対処法
新しいマウスピースに交換した直後は、歯に圧力がかかるため、軽い痛みや違和感を感じることがあります。これは歯が動いている証拠であり、通常2〜3日程度で慣れてきます。
痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤を服用するか、歯科医師に相談しましょう。また、マウスピースの縁が口内を傷つける場合は、専用のヤスリで調整することもできますが、自己判断での大幅な調整は避け、歯科医師に相談することをおすすめします。
マウスピース矯正中の痛みは、従来のワイヤー矯正と比べて軽度であることが多いです。痛みを恐れて装着時間を減らすことは、治療の遅延につながりますので、できるだけ指示通りの装着を心がけましょう。
口腔衛生の維持と定期検診
マウスピース矯正中は、口腔衛生の維持が特に重要です。マウスピースを装着したまま食事をすると、食べ物の残りが歯とマウスピースの間に挟まり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
食後は必ず歯磨きをし、マウスピースも定期的に洗浄しましょう。マウスピースの洗浄には、専用の洗浄剤や中性洗剤を使用し、熱湯での洗浄は変形の原因となるため避けてください。
また、矯正治療中も定期的な歯科検診を受けることが大切です。虫歯や歯周病の早期発見・早期治療が、矯正治療の成功にもつながります。
マウスピース矯正に関するよくある質問
最後に、患者さんからよく受ける質問とその回答をまとめました。
マウスピース矯正中に他の歯科治療はできますか?
はい、マウスピース矯正中でも、虫歯治療や歯周病治療など、他の歯科治療を受けることは可能です。むしろ、口腔内の健康を維持することは、矯正治療の成功にも重要です。
ただし、大きな被せ物や詰め物を行う場合は、マウスピースの適合に影響することがあるため、事前に矯正担当医に相談することをおすすめします。治療のタイミングや方法について、適切なアドバイスを受けられます。
くろさき歯科では、矯正専門医だけでなく、歯周病や補綴(入れ歯)など各分野の専門医が在籍しているため、総合的な歯科治療を受けることができます。
歯周病がある場合でもマウスピース矯正はできますか?
歯周病がある場合でも、適切な治療と管理のもとでマウスピース矯正を行うことは可能です。ただし、歯周病の状態によっては、まず歯周病治療を優先し、症状が安定してから矯正治療を開始することもあります。
歯周病と矯正治療は密接な関係があります。歯周病により歯を支える骨が減少している場合、矯正力による歯の移動に注意が必要です。また、矯正装置により口腔衛生の維持が難しくなると、歯周病が悪化するリスクもあります。
そのため、矯正治療中は通常よりも丁寧な歯磨きと定期的な歯科検診が重要です。くろさき歯科では、矯正治療と歯周病治療を連携させながら、総合的な口腔ケアを提供しています。
マウスピース矯正の費用と支払い方法は?
マウスピース矯正の費用は、症例の複雑さや治療期間によって異なります。一般的に、全体矯正では60万〜100万円程度、部分矯正では30万〜60万円程度が相場となっています。
くろさき歯科では、治療内容に応じた明確な料金設定を行っており、初回のカウンセリングで詳しくご説明します。また、分割払いやデンタルローンにも対応しているため、まとまった費用を用意できない方でも安心して治療を始めることができます。
矯正治療は保険適用外の自由診療となりますが、医療費控除の対象となる場合もあります。詳しくは医療費控除の条件をご確認ください。
まとめ:マウスピース矯正で理想の歯並びを手に入れよう
マウスピース矯正は、目立たず快適に歯並びを改善できる画期的な矯正方法です。症例によって治療期間は異なりますが、軽度の歯列不正なら数ヶ月、中程度なら約1年、重度なら1年半〜2年程度が目安となります。
治療の成功には、十分な装着時間の確保と定期的な通院が欠かせません。また、治療完了後も保定期間をしっかりと守ることで、美しい歯並びを長く維持することができます。
くろさき歯科では、「抜かない矯正」を基本方針とし、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な矯正治療を提供しています。矯正専門医だけでなく、各分野の専門医が連携することで、総合的な歯科治療を実現しています。
歯並びの悩みを抱えている方、マウスピース矯正に興味がある方は、ぜひ一度無料相談にお越しください。あなたの理想の歯並びへの道のりを、私たちがサポートします。
詳細はインビザライン、マウスピース矯正のページをご覧ください。美しい歯並びで、自信あふれる笑顔を手に入れましょう。
院長・監修医師
黒崎 俊一(kurosaki syunichi)

歯学博士/日本補綴歯科学会「専門医」
経歴・資格
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1987年(昭和62年) 日本大学歯学部 卒業
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1992年(平成4年) 日本大学大学院 歯学部 補綴専攻 修了・歯学博士取得
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1996年(平成8年) くろさき歯科 開院(当院開業)
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日本補綴歯科学会認定「専門医」/日本歯科審美学会会員/日本矯正歯科学会会員
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日本大学歯学部 兼任講師として教育にも従事
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